基礎体温チェック
基礎体温とは、人間が生きていく上で必要最低限のエネルギーを使っている時の体温なので、本来は寝ている時の体温です。 ただ、寝ている状態で測ることは難しいですから、目覚めたらそのまま動かずに布団の中で検温します。 できる限り、毎日同じ時間に舌下で測ります。 用意するものは、基礎体温計と基礎体温表です。

経腟超音波診断
方法
経腟プローブにて、腟内から超音波スキャンし、子宮、卵巣の状態を把握します。卵胞計測や、子宮内膜の厚さ測定をします。
リスクと副作用
少量の出血をすることがあります。


卵胞チェック
方法
卵胞の発育状況を、エコー検査にて卵胞径と数を測定し(詳細は上記「経膣超音波検査」をご覧下さい)、血液中のホルモン値(エストラジオール(E2)、LH,FSH等)を測定します。
- エストラジオール(E2)
- 子宮内膜を厚くし、排卵前に、子宮頸管粘液を増加させます。
- LH
- 成熟した卵を排卵させ、黄体を形成させる作用があります。
- FSH
- 下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣に作用して卵の入っている卵胞を発育させます。
リスクと副作用
・採血をするので採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
・子宮を刺激したことにより、検査後2~3日は出血することがあります。
黄体ホルモン(PRG)検査
方法
基礎体温が高温期になって7日目頃採血します。
排卵した後の黄体から分泌されます。妊娠の維持に重要なホルモンで、排卵の良否の指標にもなります。
リスクと副作用
採血をするので採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
黄体機能が十分でないと、子宮内膜の分泌期変化が正常に起こらなくなり、受精卵の着床不全や早期の流産を起こしやすくなります。
プロラクチン(PRL)検査
方法
採血をしてプロラクチンの値を測定します。
リスクと副作用
採血をするので採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
子宮頸がん検診
方法
子宮頸部に癌がないか細胞を採取用の棒で擦って検査します。
リスクと副作用
子宮を刺激したことにより、検査後2~3日は出血することがあります。
さらにがんが進行すると、悪臭のある膿血性帯下、多量の不正性器出血、下腹痛や発熱などがあらわれます。また、子宮頸がんの周囲臓器への浸潤や遠隔臓器への転移により、表に示すような症状があらわれます。
- 原発巣に起因
-
無症状
不正性器出血、帯下
- 周囲臓器への浸潤に起因
-
膀胱側への進展
頻尿、排尿困難、血尿など
直腸側への進展
血便、通過障害など
骨盤側への進展
水腎症、下肢の浮腫、神経痛(腰から大腿および下腿)など
- 遠隔臓器への転移による
- リンパ節、肝、肺、骨などへの転移によるそれぞれの臓器症状
フーナーテストと頸管粘液検査
排卵日が近くなると子宮と膣を結ぶ子宮頸管が水様透明な粘液で満たされます。精子は良好な頸管粘液が存在している時にだけ、子宮腔に進入できます。頸管粘液が少ない場合や、濁っている場合、粘稠性が高い場合には、精子が子宮腔に進入できずに不妊になります。
方法
頸管粘液検査は、排卵日頃に頸管粘液を採取し、その量や粘稠度を調べます。
フーナーテストは、頸管粘液中に精子が進入しているかどうかを調べる検査で、排卵日頃性交し、当日または翌朝来院して頂き、頸管粘液中の運動精子の数を調べます。
リスクと副作用
頸管粘液の採取をするので擦った部分が少量出血することがあります。

精子不動化抗体(血液検査)
抗精子抗体はその検出法によって精子不動化抗体、精子凝集抗体、精子結合抗体に分類されます。不妊症の発症ともっとも関連しているのは精子不動化抗体です。不妊女性における精子不動化抗体は不妊患者の1~2%に検出されます。
精子不動化抗体による不妊症発症機序は、①精子の子宮頸管通過障害、②受精障害、③胚の着床・発育障害などが考えられています。
方法
採血をして血液中の精子に対する抗体が無いか調べます。
リスクと副作用
採血をするので採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。

子宮卵管造影
卵管因子不妊症の診断に第一選択の検査として実施されます。卵管閉塞・狭窄などの卵管疎通性、卵管水腫、卵管周囲癒着等の情報の他、子宮内腔癒着や中隔子宮などの子宮内腔の情報が得られます。
方法
検査時期は、月経終了後から排卵までの間(月経周期10日目まで)
X線等視下、造影剤を子宮内に留置したカテーテル等を通じて注入します。
子宮内腔が造影剤で充満した後、卵管より造影剤が腹腔内に流出した直後、拡散した時点で撮影します。
腹腔内の拡散像を見るため、水溶性造影剤は15分後、油性造影剤の場合は翌日に撮影し、卵管周囲の残存像や造影剤の広がりを撮影します。
リスクと副作用
検査後2〜3日は、出血することがあります。また稀に発熱、強い下腹部痛が起こることがあります。

子宮鏡
卵管因子不妊症の診断に第一選択の検査として実施されます。卵管閉塞・狭窄などの卵管疎通性、卵管水腫、卵管周囲癒着等の情報の他、子宮内腔癒着や中隔子宮などの子宮内腔の情報が得られます。
方法
子宮の内側(子宮内腔)を、子宮鏡(直径3~4mmの細いファイバースコープ)で子宮の内面を観察する検査です。
子宮の中に生理的食塩水(ブドウ糖液や炭酸ガスを使うこともあります)を注入し子宮内腔を少し膨らませて、子宮内腔の形やできものがないかどうかを観察します。(検査時間はおおよそ5分程度)
主に次のような場合に行います。
- 粘膜下子宮筋腫(着床に問題があると考えられる場合は手術をして取り除くこともあります)や子宮内膜ポリープ(小さなポリープであれば切除することがあります)などを疑う場合。具体的には、過多月経、不正出血、習慣流産、不妊症などの場合。
- 子宮奇形を疑う場合。具体的には、習慣流産や不妊症などの場合。
- 子宮体がんの場合。がんの広がりや形態を観察します。
- 子宮内の異物や癒着が疑われる場合。
- 流産やお産後に胎盤などが残っていることなどが疑われる場合。
月経で剥がれなかった残存内膜を洗い流すことができ良質な子宮内膜を育てることができます。
子宮卵管造影で卵管閉塞が疑われ子宮鏡を行う場合は直視下により閉塞の確認をします。
リスクと副作用
次のような副作用がおこることがあります。
- 痛み
通常は殆ど痛みはなく、麻酔などは不要です。しかし、子宮の入り口が細かったり、屈曲している場合は多少の痛みを伴うことがあります。 - 出血
子宮を刺激したことにより、検査後2~3日は出血することがありますが、自然にとまります。 - 感染
極めてまれに細菌感染がおこることがあります。細菌感染防止のために、抗生物質を数日間服用する場合もあります。検査当日は性交渉は避けましょう。


血液検査(感染症)
院内感染予防のためにご夫婦の感染症検査を行っております。
方法
採血をして感染症(C型肝炎・B型肝炎・HIV・梅毒)の有無を調べます。
リスクと副作用
採血をするので採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
甲状腺機能検査
方法
採血をして甲状腺機能の検査をします。
リスクと副作用
採血をするので採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
甲状腺ホルモンは高くても、低くても不妊症となる可能性があります。
甲状腺疾患は女性に多発するため、妊婦にもしばしば合併することがあります。妊娠中に合併する甲状腺疾患は、そのほとんどが機能亢進症と機能低下症の2つに大別できます。甲状腺機能亢進症としてその頻度が高いのはバセドウ病、甲状腺機能低下症で頻度の高いのが橋本病です。
甲状腺疾患が胎児・母胎に及ぼす影響
- 母体への影響
- 甲状腺機能亢進症も低下症のいずれも流産・早産を起こすことが多いといわれています。これは甲状腺機能そのものが関係しており、良好な管理のもとではその頻度は一般の妊婦と変わりがありません。
- 胎児への影響
- 胎児の甲状腺機能は妊娠18~22週ごろ完成し、母体と胎児はそれぞれ独立した下垂体-甲状腺機能を営みます。甲状腺ホルモン(TSH,T3,T4)は、胎盤通過性がほとんど無いので、妊娠中期以降に母体の甲状腺機能が直接胎児に影響することはありません。
しかし、妊娠初期に母体の甲状腺が機能亢進状態にあると、胎児奇形の発生率が高いことが知られており、また、機能低下症の母体から生まれた胎児にはIQの低い傾向があるとの報告もあります。このことは胎芽期の器官形成には母体の甲状腺機能が大きく影響することを示しています。すなわち、妊娠初期には特に甲状腺機能を正常に保つことが重要で、また抗甲状腺薬や甲状腺ホルモン剤には催奇形性の報告がないことから、むしろ積極的に治療を行うことが肝要と考えられます。
ただし、甲状腺機能亢進症において母体に投与される抗甲状腺薬は、胎盤を通過し、児の甲状腺機能に影響を及ぼします。胎児期に母体から移行した抗甲状腺薬の影響を受けている胎児は、出生時には甲状腺機能低下状態にある可能性があり、出生後数日してから甲状腺機能亢進症症状を現す危険性があります。また、甲状腺機能異常の病因としての自己抗体は、胎盤を容易に通過し、これが胎児の甲状腺機能に影響を及ぼす可能性があります。
妊娠継続の可否
機能亢進症・低下症のいずれも、甲状腺機能が治療によって正常に保たれている場合は、一般の妊婦と変わらない妊娠予後が期待できます。
甲状腺機能亢進症において機能を正常に保つために使用する薬剤量が多いものでは、胎児に異常が起こる可能性があるが、通常は妊娠経過に従って投与量を減少できることが多い。
甲状腺機能低下症では管理不良の場合、流産に至るので、妊娠が継続できた機能低下症では、問題が起こることはそれほど多くはありません。
子宮内膜症とクラミジア感染症検査
卵管を痛め不妊症の原因となる「子宮内膜症」や「クラミジア感染症」の検査を行います。
方法
子宮内膜症は血液マーカーであるCA125を、クラミジア感染は頸管粘液の菌体検査(PCR法)又は血液抗体を検査します。
リスクと副作用
採血する場合、採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
子宮内膜症とは
もともと子宮の内側にしか存在しない子宮内膜と呼ばれる粘膜組織が、本来あるはずのない部位に存在するため、そこで女性ホルモンに反応して増殖、出血、剥離を繰り返し、進行していく病気です。本来の場所にある子宮内膜は血液とともに膣に排出され月経血となりますが、そうでない子宮内膜組織は、排出される経路が無いため、その場で留まり、病巣が膨らんだり広がったりして炎症や癒着(臓器同士や腹膜がくっつきあうこと)をおこしてしまい、月経を繰り返すうちに次第に進行してしまうのです。
原因と症状
- 原因
- 月経血の逆流など多くの説がありますが、まだよくわかっていません。
- 症状
- 子宮内膜症の存在する部位によって異なりますが、大半は骨盤内に存在するため月経痛、腰痛、下腹部痛、性交痛、排便痛などが出現します。内膜症の場合これらの症状が年齢とともにひどくなってくるのが特徴です。卵管に炎症が及ぶと不妊症の原因となります。進行すると、月経周期に関係なく下腹部痛、腰痛が持続するようになります。
クラミジア感染症とは
原因と症状
- 原因
- 性行為によって感染します。
- 症状
- 外陰部に丘疹、水疱、潰瘍、発熱などの全身症状を伴う鼠径部のリンパ節の腫脹、排膿が起こり、進行すると尿道炎、卵管炎、子宮内膜炎などを発症し、卵管周辺に癒着が生じると不妊の原因となります。
精液検査
方法
採取した精液の中の精子の数や運動の様子を測定します。
リスクと副作用
特にありませんが採取のための時間がかかります。
採取方法:採精を始める前に石けんで手をよく洗い、清潔な状態にして下さい。
お渡しした容器にマスターベーションにて精液を採取してください。
(コンドームには殺精子剤が塗布されていることがありますので使用しないで下さい)
採精前3日間から7日間程度は禁欲期間(射精をしない期間)としてください。
精液採取後は容器のフタがきちんと閉まっているか確認し、高温になる場所や冷所での保管は避けて 常温でなるべく早く(2~3時間以内)持参し、受付で提出して下さい。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)
方法
当院では採血による生化学的検査で Anti-Mullerian hormone (AMH)を測定して検査します。
リスクと副作用
採血する場合採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
卵子の質を表すものではありません。年齢は卵巣予備能を最も反映し、年齢とともに低下します。特に37才以後の低下が激しい傾向にあります。
風疹・麻疹抗体
方法
風疹・麻疹の血液中の抗体値を測定します。
リスクと副作用
採血する場合採血部位が出血したり内出血を起こすことがあります。
風疹による影響・およびワクチン接種について
風疹は、春先から初夏にかけて流行する急性感染症で、風疹ウイルスの飛沫(患者さんの唾液のしぶきなど)により感染・発症します。潜伏期間は2〜3週間で、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどが起こります。妊娠初期の妊婦さんが風疹にかかると、赤ちゃんに難聴、心疾患、白内障、あるいは精神や身体の発達の遅れなど障害を持った赤ちゃんが生まれる事が知られており、先天性風疹症候群と呼ばれています。先天性風疹症候群か起こるかどうかは、妊娠のどの時期に風疹にかかったかによります。
過去に風疹にかかったことのない方は、風疹抗体価(HI)を測定し、抗体のない方あるいは低い方(HI<32倍)はワクチンを受けることをおすすめします。ただし、現在妊娠している方や妊娠の可能性がある方には接種できません。
接種後は2ヶ月間の避妊が必要になります。
最近では特に30代〜50代の男性が流行の発生源になっていることが知られています。ご主人に風疹抗体のない場合は是非受けてもらってください。もちろん、奥様が妊娠していてもご主人にはワクチン投与が可能です。風疹抗体のない男性は奥さんへの感染予防のためにも是非ワクチンを受けるようにしてください。
麻疹による影響・およびワクチン接種について
麻疹は麻疹ウイルスによっておこる感染症で、人から人へ感染します。感染経路としては空気(飛沫核)感染のほか、飛沫や接触感染など様々な経路があります。感染力はきわめて強く、不顕性感染(感染はしても発症しない=症状がでない)はほとんどなく、感染した90%以上の人が発症します。発症した人が周囲に感染させる期間は、発熱・せきなどの症状が出現する1日前(発疹出現の3~5日前)から発疹出現後4~5日目くらいまでで、感染力が最も強いのは発疹出現前のカタル期です。
妊娠中に麻しんにかかると流産や早産を起こす可能性があります。風疹ワクチン同様妊娠中にワクチンの投与は出来ません。麻しん流行時には外出を避け、人込みに近づかないようにするなどの注意が必要です。また、麻しん流行時に、妊婦同居者で麻しんにかかる可能性の高い方はワクチン接種を受けるようおすすめします。
最近は麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)の接種が推奨されています。